教えてドクター 葉酸摂取の重要性について

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第3回 葉酸摂取の重要性について

住吉好雄先生は二分脊椎症の予防について早くから、葉酸補充の必要性を力説されていらっしゃいます。
日本ではようやく2000年12月に厚生省(当時)からこれから妊娠する予定の若い女性は1日400μgの葉酸の摂取が望ましいとの通達が出され、2001年11月から母子健康手帳に「葉酸の必要性」が記述されました。


住吉先生

しかし欧米では1992年アメリカのCDC(米疾病管理センター)は「妊娠する可能性のある女性は、葉酸を1日400μg摂取すべきである」という勧告文を発表し、その後各国の厚生省から同様の勧告文が出され、その結果それまでかなりの事例があった二分脊椎症児の発症リスクが低減してきました。
日本での少子化傾向は依然として改善の兆しが見えませんが、一方二分脊椎症は、低減の著しい欧米諸国に比べ、日本では逆に増加傾向を示し、まだまだ国内での葉酸の普及率の低さを心配されている住吉好雄先生。

「妊娠を考えているすべての女性に葉酸を毎日摂取して欲しい」とおっしゃる先生にお話を伺いました。

第3回インタビュー

妊娠したいネット:
葉酸は欧米に比べて日本で認知されるまでに時間がかかりましたが?

住吉先生:
そうですね。私は1988年日本産婦人科医会の「先天異常モニタリングシステム」がICBDMS(国際先天異常モニタリング監視機構)の正会員に認められて以来毎年の年次総会に出席し、葉酸摂取が二分脊椎を70%予防可能であることが当時の年次総会の主要議題であったため、毎年帰国後厚生省に葉酸摂取勧告を要望していました。

しかし当時わが国の二分脊椎症の発症が諸外国に比べて少なかったこと(二分脊椎症の発症率が1974~79年、1万出生対2人程度)が葉酸摂取勧告を遅らせた原因でした。

しかし二分脊椎症発症率が高かったイギリス、やアメリカでは1991〜92年にはすでに葉酸の摂取を勧告し、その発症率が年毎に急速に改善されました。それに比べ、日本では1999年度の厚生省調査で二分脊椎の発症が近年増え続けている傾向にあることが分かり、2000年に葉酸の摂取勧告が急遽出されたわけです。
しかしその後も葉酸サプリメントの摂取率は上がらず、二分脊椎症児を出産した母親の葉酸摂取は依然として皆無の状態がここ4年持続しており、非常に遺憾に感じております。

妊娠したいネット:
神経管閉鎖障害(二分脊椎症、無脳症、脳瘤)とはどのような障害ですか?

住吉先生:
神経管閉鎖障害とは先天性の頭蓋骨や脊椎の閉鎖障害のことをいいます。
脊椎の閉鎖不全により脊髄が損傷をうけ、下半身まひなどの神経障害を引き起こす二分脊椎症や、頭に腫瘤の突出した脳瘤や脳の発育ができない無脳症などがあります。
現在それらの先天異常は先進諸国の中では日本が一番高い発生頻度を示しています。

こうした先天異常が発症する中枢神経は、妊娠のごく初期に形成されます。妊婦さんが妊娠を自覚できるのは早くて妊娠5週頃ですでに胎児の器官形成は始まっており、だからこそ、妊娠がわかる前からの葉酸摂取が必要なのです。


各国の神経管閉鎖障害の発症の推計数の年次推移
図)国際クリアリングハウス ANNUAL REPORT2000による


我が国の二分脊椎の発生状況
図)平成11年度厚生科学研究(子ども家庭総合研究)
「先天異常モニタリング等に関する研究」

妊娠したいネット:
葉酸は、妊娠してからでは遅いということですか?

住吉先生:
先天異常との関係を考えるとそう言えるでしょう。
ですから妊娠する可能性のある女性は特に葉酸を摂取していただきたいと思っています。
毎日葉酸を摂取することが大切です。

特に妊娠時、胎児の細胞分裂が盛んなときに葉酸が必要なのです。
葉酸が不足すると血液中のホモシステインが上昇し、それが神経管閉鎖障害の原因の一つと考えられています。葉酸の1日の所要量は成人男女では1日200μg、妊婦では400μgです。

むかしの日本食には、新鮮な食材に天然の葉酸が多く含まれていたので、 食事だけでその所要量を充たすことができましたが、最近では食生活の変化、流通過程、調理による損失などから葉酸の1日の所要量に達しない人が数以上は居ると考えられています。

ある女子大学の学生244人を対象とした葉酸の血中濃度の調査では、1日の葉酸摂取量が平均0.19mgしかありませんでした。
必要量の葉酸0.4mgを摂取していた学生は1人か2人だけという結果でした。それだけ若い人たちの食生活の変化や食材そのものの栄養素が昔の食材にくらべ葉酸摂取量が激減しているということでしょうか。
毎日の食事から400μgの葉酸を摂取することは難しいので、毎日補充するために葉酸のサプリメントの利用をお勧めしています。
葉酸について 詳しくは >> 妊娠について勉強しよう

妊娠したいネット:
厚生労働省が葉酸摂取が神経管閉鎖障害の発症リスクを70%減らすことが出来ると発表している訳ですね。それでは産婦人科などももっと積極的に葉酸摂取を義務付けるくらいのことがあっても良さそうですが、実際、産婦人科に葉酸の必要性を掲げているところはあまり見ませんね。

住吉先生:
指導が実際診療にあたる病院に行き渡っていないのでしょうね。
日本は何か現象が起こってから対応にあたります。
そこに予防医学と云う考えが根付かないのかも知れません。日本では栄養成分表に平成12年まで「葉酸」の量について記載されていませんでした。それだけ無視されてきた栄養素なのです。

医療サイドの指導不足もありますが、妊婦さん自身がサプリメント=薬としてとらえ、摂取することに抵抗を覚える方が多いのも事実です。正しい意識革命に期待したいところです。

妊娠したいネット:
葉酸は女性だけに有効なのでしょうか?

住吉先生:
葉酸とは、細胞が増えるとき=生命の基本を担う核酸の合成に不可欠ですから、とくに細胞増殖の盛んな胎児が急成長する妊娠初期には不可欠といえます。
しかし男性、女性の成人においても葉酸を充分摂取している人は動脈硬化や心臓発作などの危険率が低下すると言われています。葉酸の血中濃度の低いひとは代謝が妨げられて※ホモシステインというアミノ酸が血中に増加します。
そしてホモシステインの高い人は心臓発作が起きやすいのです。
ですから葉酸を摂取することで、ホモシステインを減らし、動脈硬化、高血圧やアルツハイマーの予防にも役立つと言われています。
※ホモシステインとは?

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取材後の感想

サプリメントというと、その名のとおり、栄養補助食品。
しかし、あまりのサプリメントブームでその種類の多さや効果など本当にきちんと自分の体に必要なものを知って摂取しているでしょうか?なんだか流行に流されてはいませんか?
先生のお話を伺い葉酸を勉強すればするほど、単なるサプリメントというジャンルで片付けてはいけない気がしました。人間が細胞を作り続けていく過程で必要不可欠な「葉酸」葉酸不足により引き起こすさまざまな疾病との因果関係や、日本での神経管閉鎖障害の赤ちゃんが実際に増えているという事実を踏まえ、「予防」という観点から自分の体を整えなければという感想を持ちました。

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住吉 好雄(すみよし よしお)先生プロフィール

横浜市立大学客員教授
財団法人 神奈川県労働衛生福祉協会 理事・婦人科部長
医学博士

葉酸について 詳しくは >> 妊娠について勉強しよう

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