おすすめクラッシック音楽Vol.2 ベートーヴェン:田園交響曲

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おすすめクラッシック音楽Vol.2

ベートーヴェン: 田園交響曲

音楽家の耳が聞こえなくなるというのはどういうことでしょうか。それはまさに究極のストレスと言えるかもしれません。

ブルーノ・ワルター(指揮)
コロンビア交響楽団
(ソニー・クラシカル SICC-666 税込み定価¥1,890)

 

ベートーヴェンはドイツの田舎街に生まれ、ウィーンに出てピアノの名手として活躍しました。しかし、間もなく耳の病気に冒され、筆談で会話せざるを得ないほどの状況に陥ったことはよく知られています。

ダンスも楽しむ社交的な青年ベートーヴェンは30歳過ぎに耳が遠くなり、それを他人に知られることを恐れて人間嫌いになり、一時は将来に絶望して遺書も書きました。
そうして自然の中に逃避したベートーヴェンがそのストレスに打ち勝ち、38歳のときに書いたのが『田園交響曲』です。

この曲は全部で5つの楽章に分かれています。

・第1楽章<田園に着いたときの晴れやかな印象>
・第2楽章<小川のほとりの情景>
・第3楽章<田舎の人々の楽しい集い>
・第4楽章<嵐>
・第5楽章<羊飼いの歌、嵐のあとの喜びと感謝の祈り>

耳が遠くなったベートーヴェンが自然の声を心で聴き、第2楽章では小鳥のさえずりさえも音符に書きしるしています。

この曲はソナタ形式で作曲されています。ソナタ形式を簡単に説明するとこうなります。
最初に、第1主題と呼ばれるテーマが現れ、その後、対照的な第2主題が登場し、それらが絡み合いながら展開部へと移行し、最初の部分が再び戻る再現部が続き、最後にコーダと呼ばれる終結部で幕を下ろす。それはまるで人の一生にも当てはまる形式のようです。

まず、この世に生まれた人がそれぞれの個性(第1主題)を持って育ち、その後、その個性を妨げるような要素や環境(第2主題)が登場し、それらと葛藤、融合しながら発展、成熟し(展開部)、最後にもう一度、(第1主題や第2主題が)再現され、最後にすべてを総括(コーダ)する。再現部が生まれながらの個性(第1主題)によるものか、後のもの(第2主題)に影響されたものによるかは人によって様々で、その人の生き方と深く関わっている。
こう考えると、まさに人の一生はソナタ形式と同じようなものかもしれません。
近代ヨーロッパの音楽が多くの人々の共感を得る理由はこのような類似性によるところもあると言えるようです。

ベートーヴェンは全部で9曲の交響曲を作曲しました。その中、『田園』は6番目の交響曲です。
この交響曲は、その前の第5番とほぼ同じ、今から約200年前の1808年に作曲され、12月22日に第5交響曲と同じ演奏会で初演されました。
その第5交響曲は『運命』と呼ばれていますが、これは日本に限っての呼び名です。

数多い『田園交響曲』のCDの中で、まず第1にお奨めしたいのは、演奏、録音ともに素晴らしいブルーノ・ワルターが指揮した演奏をお奨めします。

ブルーノ・ワルターは第2次大戦前から戦後まで活躍した大指揮者ですが、ユダヤ人であったため、戦時中ヨーロッパを追われてアメリカに渡り、晩年は西海岸で余生を過ごしました。 60年代に入り引退同然だったワルターの藝術を当時やっと一般化されてきたステレオ録音で残そうという計画のもと、レコード会社がそのためだけにコロンビア交響楽団を西海岸で結成し、ステレオ録音によるその至芸が後世に伝えられることになりました。

ワルター・コロンビア交響楽団の『田園交響曲』は、そうして残された彼の最高傑作です。有名な冒頭のフレーズから愛の指揮者と呼ばれたワルターの優しく微笑みに満ち溢れた慈愛の<田園>が語りかけてきます。

ベートーヴェンの深い哲学に迫る演奏をお望みなら、フルトヴェングラー・ベルリンフィルがお奨めです。録音は古いモノーラル録音ですが、この戦時中のライブは誰も真似のできない深遠かつ崇高な名演です。CDはOPUS蔵の復刻盤がよい音です。作曲当時のオーケストラの音がお聴きになりたい方は、当時の楽器と演奏方法を研究して再現したブリュッヘン指揮18世紀オーケストラのCDをどうぞ。現代のオーケストラとは全く異なるベートーヴェンの響を聴くことができます。

ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指揮)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
(OPUS蔵 OPK7001 税込み定価¥2,720)


フランス・ブリュッヘン(指揮)
18世紀オーケストラ
(ユニバーサル・ミュージック PHCP21027 税込み定価¥1,800)

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ストレスフリーミュージック選者プロフィール

射手座、O型。 初めてクラシックに目覚めたのは1960年代後半、中学生のとき。
ソ連(現ロシア)から来た<幻のピアニスト>、リヒテルの初来日コンサートを聴いてから。 以来、クラシック音楽にのめり込む。所有CD数は3,000枚を超え、その大半がクラシック。今でも、毎月、数10枚単位で増え続けているため、その総枚数は不明。 好きな作曲家は、バッハとブルックナー、ただし、感動できない音楽、演奏には一切感心を示さない。どうしても聴きたい演奏があるときは、飛行機に乗って日本まで駆けつける上海在住の風流人。

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